子どもと会っていると、時々、
その子の、というかその子の家庭の持つ価値観がポロリと顔を出す瞬間がある。
そのことについて書いた過去記事はこちら。
昨日も、そんな一コマがあった。
5年生の女の子。
「女の子なのに、部屋が散らかってるって恥ずかしい。」
なんでそう思うん?って訊いたら、
「お母さんにそう言われる」と。
別の場面では、
「この子(テキストに出てくる男の子)、ドールハウスで遊んでるんだよ。」
って言って、
「ほら、おかしいでしょ。」みたいな顔でクスクス笑ってる。
面白いジョークを言ってお友達を笑わせたかったみたい。
『男の子も、好きならドールハウスで遊んでいいじゃん?』
って言ったけど、ピンと来ない顔をしている。
そこから、他の子も巻き込んで“女子力”の話になったけど、
他の子たちも、“女子力”という言葉を何の違和感もなく口にしているようだった。
(ちなみに、今回の生徒は全員小学校高学年女子)
10歳やそこらで、
女は整理整頓が上手い、
男の子はお人形で遊ばない、
女は云々、男は云々
というステレオタイプを完全に取り込んでる。
(最近は外国では、性差に関してはかなり気をつけて教育されているらしいけど、日本の子どもたちの意識はあまり変わっていないように私は感じる。)
で、
そういう時は、ちょっと待った!をかける。
『なんでそう思うの?』
『その考え、どこから来た?』
『理由ある?』
『よく考えてみたら、どう思う?』
ということを問いかけてみる。
頭から『そんなのおかしいでしょ』ってやってしまうと、
子どもは、『あなたは間違っている』というメッセージだけ受け取ってしまって、
こちらに心をひらいてくれなくなるから、気をつけないといけない。
子どもに気づいてほしい。
自分が色付きの眼鏡をかけているかもしれない、ということに。
親や、もしくは、だれか他の人からもらった色付き眼鏡。
人は、自分の価値観で世の中を見るものだから、まったく色のついていない眼鏡なんでありえないけれど、
知らず知らずにかけているのと、かけていることをわかっているのでは大違いだし、
それをはずしてみようとする姿勢を、子ども達には持ってほしい。
今回の話で、彼女たちの、女子・男子に対する色眼鏡が外れた、ということはない。
長い間かかって知らないうちに身についた眼鏡は、すっかり自分の一部になっているから。
1週間に一回、たったの1時間だけ会う私にできることはほんの少し。
しかも、英語を習いに来てるだけの子ども達。ちょっと意識を向けてもらうように働きかけるだけ。
『ほら、ほら、よく見て。』
『ちょっと止まって考えてみようか』
それがどれくらい、彼女たちの中に入るかわからないけど。
『せんせい、へんなこと言うな~』ってとこからでもいいので、
そう、はじめはちょっぴりでもいいので、
地殻変動を起こすきっかけになったらうれしい。
私は英語を教えてるけど、英語だけ教えているわけじゃない。
英語を使って世界の人と分かり合える人を育てている。
言葉だけできればいいってもんじゃない。